交通事故を起こす高齢者が増えている原因と対策

高齢のドライバーが起こす交通事故が、増加傾向にあります。65歳以上の高齢者が運転する車が交通事故を起こすケースが増え、中には80歳や90歳といった年齢のドライバーもいるほどです。若い人に比べれば、高齢になるほどに体力も判断力も低下しがち。

とはいえ、高齢ドライバーの全てが交通事故を起こしているわけではありません。交通事故を起こす高齢者が増えている原因や対策について、お話します。

高齢運転者が起こす交通事故割合は増加傾向

警視庁の発表によると、高齢運転者による事故の割合は年々増加しています。

平成20年には全体の11.1%だったのに対して、平成29年には17.9%に増えているほどです。(参考元:交通事故に強い弁護士)

総務省の調べによれば75歳以上の高齢者の人口は全体の10%以上に到達しており、高齢ドライバーが増えているのは当然のこと。しかし、高齢になっても車の運転をする人が多いからといって高齢者が起こす事故の割合まで増えてしまうのは問題です。

実は、高齢ドライバーが第一当事者となる交通事故の件数自体は減ってきています。にも関わらず、交通事故を起こす割合は高齢ドライバーが増えているのです。体力や判断力が低下する傾向にある高齢ドライバーには、厳しい目が向けられることもあります。

車の運転をするからには、どんな年齢の人も同じルールを守らなければなりません。ルールを守り切れずに交通事故を起こすリスクがある場合は、早めに対策をとることが大切です。高齢者自身が、高齢ドライバーによる交通事故が増えていることを意識して注意する必要もあります。

違反別の高齢運転者の事故発生

高齢運転者による交通事故発生状況は、安全確認の違反が最も多くなっています。全体の37%以上を占めるほどで、次に多い交差点安全進行違反の約18%と比べると大きな差です。いつも通り慣れている道だからといって、安全確認を怠ったことで交通事故を起こすケースもあります。

これまで問題がなかったからといって、これから運転する状況が安全とは限りません。安全確認は、運転するたびに慎重に行う必要があります。交差点では判断力が鈍ってしまうこともありますから、要注意です。交差点安全進行違反の次に多いのが、前方不注意による交通事故です。

13%の高齢ドライバーによる交通事故が、前方不注意違反とされています。次の動静不注視違反は約6%の割合ながら、注意を怠って交通事故を起こしてしまう高齢ドライバーが多いことがわかります。ハンドル・ブレーキ操作不適違反は次点で、約6%。

ハンドルやブレーキの操作を誤って、悲劇的な事故を起こしてしまうケースはニュースでも報道されています。歩行者妨害は5.5%、信号無視は2.4%と少なめながらも交通事故につながっているのは事実。高齢になるほどに、交通違反にならない運転をする注意が必要です。


発見の遅れが圧倒的な要因

高齢ドライバーが交通事故の第一当事者となっているケースでは、脇見をしていたり運転以外の考え事をしていたという人的要因が目立っています。気付いたときには交通事故を起こしていたという、発見の遅れが全体の83.5%も占めているのです。

高齢になると、身体能力も判断能力も若いときに比べれば低下しやすくなります。個人差はありながらも、注意力や集中力が落ちてきていたり、瞬間的な判断力が低下してくる人が増えてきます。高齢者自身は安全運転をしているつもりでも、傍目から見れば危うい運転をしている人も目立つわけです。

過去の経験にとらわれやすくなるのも、高齢ドライバーにありがちな特徴です。今まで大丈夫だったから問題ない、今までと同じ方法で運転していると思い込んで事故を起こしてしまうこともあります。例え走り慣れた道路でも、運転ルールや技能を正しく見直したうえで緊張感を持った運転をすることが、交通事故を防ぐためには欠かせません。

高齢者ドライバーの安全教室

高齢ドライバーによる交通事故を防ぐために、警視庁の交通安全教育センターなどでは安全運転教室を開催しています。ベテランの指導員による運転の指導を受けられる教室です。例えば東京都なら、65歳以上のドライバーを対象に無料で安全運転教室を実施。

開催日時によって募集人数の制限はありますが、初心者から長年運転している高齢者まで運転経歴は問わず参加できます。日常的に運転しているマイカーで安全運転指導を受けられるので、借りた車で運転感覚が異なるのではないかという心配もありません。

最寄りの地域で同様の安全運転教室が行われていれば、参加してみるのも事故を防ぐ対策の一つです。警視庁では、高齢ドライバーの安全運転をサポートするためにセーフティ・サポートカーの普及にも努めています。セーフティ・サポートカーは、安全運転を支援するシステムを搭載した車のことです。

自動ブレーキやペダルの踏み間違いをしたときの加速抑制装置などが搭載されており、車線からはみ出しそうになったときに警報で知らせたり先進ライト機能が付いているサポートカーもあります。こうしたサポートカーは高齢者だけでなく運転者全体をサポートするために普及啓発されており、高齢ドライバー向けのサポートカーの機能はより充実しています。

交通事故の慰謝料の計算ってどうなっているの?

高齢者の運転免許自主返納

高齢ドライバーの運転免許自主返納も、警視庁から提案されています。高齢者自身が車の運転に不安を感じるようになった、家族などが高齢者の運転を心配してなどの理由で運転免許を返納することです。運転免許を返納すると、申請によって運転経歴証明書が発行されます。

運転経歴証明書は、運転免許の返納日から過去5年間の運転経歴を証明する書類です。過去5年間安全運転をしてきた人には、良い記念となるでしょう。それだけでなく、運転経歴証明書の提示によって様々な特典を受けられるメリットもあります。

高齢者運転免許自主返納サポート協議会に加盟している宿泊施設や美術館で割引特典を受けられるなど、多様な特典が用意されているのがお楽しみです。運転免許の取得は、簡単なことではありません。苦労して取得した運転免許を手放すこと、運転できなくなることに迷っても、運転免許を返納すれば交通事故を起こしてしまうリスクを低減できるのは事実です。

車の運転ができないと生活が不便になる可能性もありますが、交通事故を起こしてからでは取り返しがつきません。運転免許自主返納制度について検討してみることも、高齢ドライバーにはおすすめします。